心不全とは心臓のポンプ機能が弱り、全身の臓器や筋肉に必要な量の血液を送り出せなくなった状態をいいます。心不全の原因は、狭心症・心筋梗塞・弁膜症・不整脈・心筋症・高血圧など様々です。心不全になると、少し動くだけで息切れや動悸・胸の苦しさがでます。いつもより疲れやすくなったり、足がむくんだり、ふらっとすることが増えた場合も要注意です。
坂道や階段を上がると、胸が締めつけられるように苦しくなる。
その症状は心筋梗塞の前兆かもしれません。
心臓に栄養を送る血管を冠動脈といいます。高血圧・高コレステロール・糖尿病・タバコでこの大切な血管にプラークが付着すると、血管が狭くなり狭心症となります。血管が完全に詰まると心筋梗塞となり、命にかかわります。
冠動脈が血栓やコレステロールで狭くなると、心臓の筋肉に栄養がいきわたらなくなり、心臓の動きが落ちてしまいます。そのような場合、階段や坂道を上がると、胸が締め付けられるように苦しくなります。
またタバコを吸う習慣がある方は、夜中から明け方にかけて、胸の痛みで目が覚めてしまうことがあります。これは冠攣縮性狭心症といって、冠動脈が寒さやストレスなどで急に収縮を起こして、血流が悪くために起こります。
当院では運動負荷心電図や心エコー検査を用いて、狭心症の有無を調べます。血管の詰まりが軽症の場合には、血液をサラサラにする薬や、血管を拡張する薬で治療することができます。血管の詰まりが重症の場合には、心臓カテーテル治療が必要となります。
心臓カテーテル治療(バルーンで病変を拡張し、ステントを留置します。)
心臓には4つの弁があります。弁は心臓の中で扉の役割をしています。扉の閉まりが悪くなったり、逆に開きにくくなると、心臓の中で血流が逆流したり、よどんだりします。弁の動きと血液の逆流の程度は、心エコー検査で分かります。
症状としては、息切れ・足のむくみ・動悸・ふらつきなどがあります。 重症の方は、弁を新しく取り換える手術が必要になります。
心臓の筋肉には、刺激伝導系という独自の発電システムが備わっています。この電線が途切れたり、電線以外の部分で発火すると、不整脈が起こります。不整脈にはいくつかの種類があり、ホルター心電図(24時間心電図)で治療が必要かどうかを判定します。
脈が速くなる不整脈は動悸を感じます。
治療は内服またはアブレーション治療(カテーテルで不整脈の出ている心筋を焼灼する治療)という選択肢があります。
脈が遅くなる不整脈は、意識がふっと遠のく感じや失神が起こります。
このような症状がある方にはペースメーカーの埋め込み術が必要になります。
遺伝や高血圧などの要因により、心臓の筋肉自体が分厚く肥大したり、ペラペラに薄くなり、心臓の収縮が落ちてしまう病気です。心筋症にはそれ以外にも、アミロイドーシス・サルコイドーシス・ファブリー病などあまり聞きなれない病気が原因のこともあります。また体に入ったウイルスや細菌が心臓を攻撃して、心筋炎を起こしたり、抗がん剤などの強い薬が心臓を傷めたりすることで、心筋が弱ることもあります。治療は原因によって様々ですが、薬物治療が効果ない場合は、人工心臓や心臓移植が必要になることもあります。